抄録
本稿では改修・転用による展示空間において美術作品がどのように展示されるかを分析した。それに際して,部分的に新設の展示空間との比較を行った。
その結果,新設空間の多くは,ニュートラルな白壁の空間として設えられており,作品配置を見ると整列で置かれることが多い。一方で改修・転用空間では,従前用途において使用された家具や,柱・梁などの部材が空間内に残存する。それらは展示頻度によってどこまで残されるかの差が見られるが,それらに関与する形で,作品が三次元的な広がりを持って配置される傾向が明らかとなった。