抄録
大規模な集合住宅では,生活を豊かにすることを目的とした共用施設が設置されている。これらの共用施設は共益費で管理・メンテナンスを行うことが多く,その負担も含めた設置の有無に関するニーズに沿った整備が求められる。本研究では,今後の高齢化社会を鑑み,共用施設の利用意図と必要性に関する,アンケート調査を実施した。
得られた結果を,若年・壮年世代と高齢世代間で比較し,共通項や差異を,統計的分析を用い把握した。分析結果から,両群ともに利用意図が必要性より有意に高い施設,及びそれぞれの年代での利用意図が必要性よりも高い施設,両群から利用頻度が低いとしても,必要であると考えられる施設等を明らかにした。また高齢群は,若年・壮年群より有意に利用意図や必要性が高い共用施設は少なかった。このため,今後はその要因を明らかにし,高齢世代のニーズも考慮した共用施設の設計及びインテリアデザインの提案が必要であると考えられた。