抄録
本研究は, 日本の現代住宅における起居様式の地域特性の表れ方を考察したものである。第1編では, 「北関東」「首都圏」 「関西圏」に近年新築された戸建住宅を対象として,「イス坐」の進展と「ユカ坐」の温存に注目した考察結果を報告した。
本編は,公室空間における居室編成・平面形。しつらえ方に注目して,地域特性の表れ方を明かにするものである。考察の結果,北関東では洋室部分のLの欠落した居室編成や和室部分を拡充した平面形が特徴であり,首都圏では洋室部分が確立した平面形, また,関西圏においてはLの部分の「折衷型ソファ」のしつらえ方に特徴が認められた。全般に, くつろぎの場のしつらい種別と和洋室別は,重要なポイントである。