抄録
日本建築のインテリアに着目して歴史的考察を試みるとき,有用な史料として礼法書の存在がある。その一つ「雅亮装束抄」は貴重な史料であり, これについての復元的考察を中心とする詳細な論考が必要である。本研究では史料の記述から寝殿造の建築において用いられた道具とその室礼を復元して特質を論じ,寝殿造建築インテリアの室礼に現れる設計理念と時代背景について具体的に考察した。
結果「雅亮装束抄」は概念としての寝殿造インテリアに関する設計学理書を意図しており,専門職<装束司>によって室礼について記す,公家故実書の基幹的存在として歴史的に評価できる。