抄録
本研究は,快・不快感の評価が表面性状により逆転するという仮説を証明するために,粗さの定量的な増減が触感性および筋肉の挙動に影響する過程を分析した。その方法は,比較のための木製試料とサンドペーパー試料を手で掴み,そのとき,手のひらに生じる触感および甲の筋電図を比較検討した。得られた結果は次の通りである。①快・不快感の評価は表面粗さが数十βmのオーダーで暖昧になる。 ②2試料間の電圧比は表面粗さの自然対数値に対して高い直線相関を示した。粗さが増すと不快感を感じる傾向が確認され,前報の仮説が証明された。