1992 年 48 巻 9 号 p. 649-657
市販のレーザ・ディスク作品、及び、別の作品の音と映像を組み合わせた素材を用いて、AVメディアを通しての情報伝達における、視覚と聴覚の相互作用に及ぼす、音と映像の調和度の影響を検討した。音と映像の重畳が、音と映像の印象を良くする、協合的な相互作用においては、音と映像の調和度が高いほど、その効果が大きい。視覚と聴覚に共通する性質(通様相性)が同方向に変化する、共鳴現象に関しては、通様相性の処理レベルに依存し、明るさのように、低次の処理による性質では、調和度とは関わりなく、共鳴現象が生ずるが、引き締まり感、きれいさのような、高次の処理を必要とする性質では、調和度が高くないと、共鳴現象が生じない。