声道壁インピーダンスは音声生成機構の音響的性質を記述するための基本パラメータの一つである。このため、従来種々の方法で音道壁インピーダンスの推定が行われてきたが、それぞれでかなりの差があっていまだに十分信頼できる値は得られていない。本論文では従来と異なる方法を用い、音源を口腔内に入れて口腔の内側と外側の音圧を測定すると共に頬の振動加速度を同時に測定して頬インピーダンスを測定した。この方法の有効性を確認するため、プラスチックゴム管の機械インピーダンスを機械工学的手法で直接測定した値と比較したところ相対誤差は10%台であり、本測定法で得られた値はかなり信頼できると思われる。本測定の結果、頬の単位面積当たりの質量とスティフネスは測定周波数範囲20〜3,200Hz でほぼ一定であるが機械抵抗は高周波領域でかなり大きくなることが示された。
抄録全体を表示