1993 年 49 巻 11 号 p. 755-762
クランプオン形超音波流量計は、電波伝搬経路中に管壁が存在するため伝搬経路の決定に問題を抱えていた。本報告では、この問題を解決するために管壁を平板と見なして板を通過する超音波の透過音場を空間周波数領域で解析したところ、管壁に発生する板波モードが透過音場に大きく影響していることが明らかになった。すなわち、超音波入射条件が板波モードを励振する条件において板を通過する超音波の透過率が極大となり、結果的に、この条件に近いときには、超音波の液体中放射角及び放射点の偏移を生じ易い。この透過音場の空間周波数依存性をふまえて実際の管について種々の入射条件と励振効率を検討したところ、クランプオン形超音波流量計において音波伝搬経路を正確に決定できる方法という点で有効であるワイドビーム法、リーキーレーリー法及び板波法の3方法を取り上げ、それらの解析結果を与えた。