日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
ダイナミックプログラミングを用いた心臓壁面運動のトラッキングによる心臓壁の微小な振動計測
佐藤 宏明金井 浩中鉢 憲賢
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1993 年 50 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

心臓筋肉壁の音響的・弾性的な特徴から、心不全の診断を行うために、心臓壁の様々な部分から、微小な振動を高い精度で検出することが必要である。しかしながら、このような微小微動の検出はこれまでの超音波診断の手法・システムで行うことは困難である。その理由は心臓の拍動が、超音波トランスデユーサと心臓の間を伝搬する超音波ビームの伝搬時間に大きな変動を与えるほど、大きいことによる。更に心臓中隔壁の心筋から反射された波は、壁が層構造をしているために多重パルスとなっていて、各層からの反射を分離するのは難しい。この論文では超音波による心臓壁上の微小振動の高精度な測定のために、ダイナミックプログラミング(DP)を導入することによって、多層構造の筋肉壁から反射された波を分けて求める方法について提案する。実験結果から提案した手法の原理を検証し、心臓壁の微小振動が得られた。

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© 1993 一般社団法人 日本音響学会
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