1994 年 50 巻 2 号 p. 110-116
線形予測分析法では音声を全極型と仮定して分析している。しかし、入力(音源)が理論的に仮定されているインパルスではなくて、声帯振動に起因するパルス列であるため、分析結果に誤差を伴う。その解決法としてMakhoulらは離散全極モデル(DAP)法を提案しているが、スペクトルピークの周波数が基本波と調波関係にないときは必ずしもよい結果は得られない。その解決策として、ピッチ周波数を指定し、その整数倍としてスペクトルピーク周波数を算出すると、誤差を格段に低減しうることを示した。分析スペクトルのピークからピッチ周波数を推定する方法を援用し、この方法を実音声の分析に適用できるように改良した。