抄録
清水建設株式会社において開発された音場合成システムの性能を、主観実験により評価することを試みた。既存の音楽ホール、及び、そのホールを模擬した合成音場について、ダミーへッドを用いて録音した刺激音をヘッドホンから再生した。それらの刺激音において、音色評価語に関する実験と、音の類似度を評価する実験を行った。その結果、このシステムは、実際の音場の有する明瞭性をよく模擬しているが、残響感についての模擬が不足していることが示された。これは音響物理量による検討からは予測できなかったことであり、主観評価を行うことの有効性が示された。しかし、主観評価の方法については、幾つかの課題が残された。