日本森林学会誌
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論文
森林資源モニタリング調査は固定プロットでの継続調査となっているか
―富山県民有林における検討―
中島 春樹
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2017 年 99 巻 4 号 p. 156-164

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抄録

 森林の動態は,固定プロットにおいて毎木調査を繰り返すことによって詳細に捉えることができる。森林資源モニタリング調査は,広域レベルにおいて森林の現存量や動態を把握することを目的としており,全国の 4km 間隔の格子点上に固定プロットを設け,5年間隔で調査することとされている。この調査データを都道府県レベルの森林動態の解析に利用できるか検討するため,富山県民有林内に第1期調査(1999~2003年)によって101格子点に設定されたプロットについて,第3期調査(2009~2013年)まで固定プロットとして継続調査されたか調べた。101点のうち12点では到達路の危険性などのため第3期に調査が実施されなかった。11点では第1期のプロットが発見できなかったことなどから,プロットが別の位置に再設定されていた。20点ではプロット形状が方形から円形に変形されていたが,継続調査に準じるデータとして扱える場合もあると考えられた。継続調査された格子点は58点に過ぎず,森林動態を解析するには不備の多いデータとなっていた。今後のモニタリングにおいて,調査の継続性とデータの有用性を高めるための方策を検討した。

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© 2017 一般社団法人 日本森林学会
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