本論文には、定在波音場での実験結果と観察を基に、超音波照射による大豆油の溶媒抽出の促進機構について述べている。定在波音場は水を満たした音響管内に形成した。抽出実験は、定在波音場内にヘキサンと粉末大豆を満たした小型容器を挿入して行った。実験結果から、抽出効果は音圧の腹の位置で最も大きく、大豆油の溶出量は音圧の約1/3乗に比例して増加することが分かった。更に観察結果から、粉末大豆は不規則な攪拌と激しい回転をしていることが分かった。このことから、音圧による圧力変化によって粉末大豆の内部への溶媒の浸透と、粉末大豆の内外の溶媒の交換が有効なことが考えられる。更に粉末大豆の不規則な攪拌と激しい回転は溶媒との接触の機会を増加している。