2002 年 58 巻 10 号 p. 639-646
道路交通騒音を対象音源として,空気の音響吸収による減衰が障壁の挿入損失に与える影響について一検討を行った。本稿では特に非干渉性線状音源に対して空気吸収を考慮する場合としない場合での障壁の挿入損失の違いについて調べた。数値計算の結果,長さが1kmを越えるような線状音源に対しては,空気吸収を考慮する必要があることが分かった。また,非干渉性線状音源に対する障壁の効果は,線状に並んだ要素点音源列からの寄与を積分して求めることができるが,空気吸収を考慮することで積分の収束が安定し,積分範囲を狭くできるという利点があることも明らかとなった。