ピアノを用いた1オクターブの上下行長音階演奏に対する自動評価について述べている。音階演奏の客観的な評価基準を求めるために,種々の音階演奏の5名の専門家による適切性の主観評価とその演奏のMIDI記録の関係を求めている。記録されたピアノ演奏に含まれる打鍵タイミング,打鍵強度(ヴェロシティ),及び押鍵時間長について,音階演奏に含まれる逸脱のスプライン補間曲線を求め,得られた曲線の特徴から,当該演奏の特徴を15のパラメータで表している。補間曲線は鍵盤に対する奏者の手指交差に基づいて求められている。得られた主観評価スコアはその適切性をLeave-one-out法によってオープンテストするために用いられている。評価データに対する評価スコアは,KL展開によって次元縮小を行った後にk近傍法によって求められている。音楽の専門家による評価値に基づいて,提案手法が音階演奏の適切性に関する主観スコアを適切に予測していることを確認している。