日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
音源の特性に応じた符号化モード選択多段量子化手法
福井 勝宏堤 公孝佐々木 茂明日和崎 祐介羽田 陽一
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 69 巻 12 号 p. 623-631

詳細
抄録
高能率なベクトル量子化方式として,広く採用されているSVQ(Spherical Vector Quantization)やAVQ(Algebraic Vector Quantization)は,音声のスパース性に着目したコードブック設計により,音声の母音のようにスパースな表現を持つ入力信号に対し,少ない情報量で高品質に量子化できるという特徴を持つ。しかしながら,これらの方式では,楽音に含まれるブロードに広がったスペクトル成分など,入力信号がスパースでない場合の量子化においては,少ない情報量ですべての主要成分にエネルギーを割り当てることが難しく,復号信号にパワーの欠損が生じることがある。この問題を解決するため,本論文では,SVQやAVQに対し,入力信号がスパースでない場合に,ベクトル量子化でエネルギーが割り当てられなかった周波数成分を周波数包絡に基づく雑音成分で埋めることで,復号信号に生じるパワーの欠損を防ぐ量子化方式を提案する。主観評価試験から,様々な音源に対し,提案方式による量子化精度の向上を確認した。
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本音響学会
次の記事
feedback
Top