2016 年 72 巻 10 号 p. 627-634
音源定位や音源分離などの音響処理に実測したインパルス応答を用いる場合,システムの制約によってインパルス応答を短く切り出す必要がある。この切り出しは,手動で行うのが一般的であるが,切り出しにより大きな誤差が発生したり,労力がかかるという欠点がある。本研究では,切り出しにより生じる振幅スペクトルの相対誤差が最小となる規範で自動的に測定したインパルス応答を切り出す手法を提案する。実験の結果,提案法による切り出し誤差は,他の切り出し手法に比べ,平均的な位相誤差が少なく,広い帯域で位相変化が少ない切り出しが可能であることが確認された。