2007 年 10 巻 p. 65-74
本研究では、教員のストレス軽減のためのリソースとして、学校内で「誰からの」 「ど のような」サポートがストレス軽減に有効であるかいうことを、期待したサポートと受 容されたサポートのミスマッチの視点から明らかにすることを目指した。2006年7月から9月にかけて、関東圏の公立中学校32校に勤務する473名の一般教員に、職場におけ る短縮版ソーシャルサポート尺度、StressResponseScale-18 (SRS-18)、Maslach Burnout lnventoIVの邦訳版(MBI)、中学校教員の学校対人ストレッサー尺度などから構 成された質問紙による調査を行った。分析の結果、1同僚教員や管理職からの受容された サポートが心理的ストレス軽減効果をもつこと、2スクールカウンセラーからの受容され たサポートは同僚教員や管理職からの受容されたサポートにくらべて心理的ストレス軽減 効果が弱いこと、3同僚教員や管理職から期待しただけのサポートが得られない状態 は、期待相応または期待以上のサポートが得られる状態にくらべて心理的ストレス反応が 悪化することが明らかとなった。こうしたことから、教員のメンタルヘルス向上のために、 1同僚教員や管理職からのサポートを活性化させること、2サポートを受ける側のサポートへの期待を事前にアセスメントし、期待の「文脈」に応じてサポートを行うこと、の 2点を指摘した。