抄録
緑葉組織のペルオキシソームは葉緑体、ミトコンドリアと共に光呼吸代謝に関与 している。我々は緑葉ペルオキシソームの局在解析を行うことにより局在機構と代謝の効率化との関係を明らかにしたいと考えている。シロイヌナズナ葉肉細胞での観察の結果からペルオキシソームの動態変化が光に依存して活発化することが明らかとなった。光に依存したこの現象は光合成に付随して起こる光呼吸の効率化に有利であると思われる。また、光条件下ではアクチン繊維とペルオキシソームの相互作用が顕著となり多様な形態変化が生じることから、細胞骨格がペルオキシソームと葉緑体との接着機構に関与していることも示唆された。今回我々はこれらオルガネラ間の接着を欠損した変異体を数種類選抜した。これらの変異体peup (peroxisome unusual positioning)ではペルオキシソームの凝集や、細胞質に過剰なペルオキシソームが浮遊した形質を示し、正常な葉緑体との接着に欠損が生じていた。変異体の選別を行い、各変異体ペルオキシソームに関して動態解析並びに植物体の形態や成長等に与える影響等について生理学的解析を行った。これらの解析から個体の生育におけるペルオキシソームの局在機構の重要性が示唆されたので、その結果を報告する。