学校メンタルヘルス
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大学生の就職活動ストレスに関する研究 : 評価尺度の作成と精神的健康に及ぼす影響
北見 由奈茂木 俊彦森 和代
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2009 年 12 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

目的:本研究の目的は,1)就職活動経験の有無による精神的健康状態の相違を明らかにすることと,2)近年の就職活動状況を考慮した就職活動におけるストレスを測定する尺度を作成し,3)大学生の就職活動におけるストレスが精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることである。方法:調査対象者は,大学3・4年生1295人であった。なお,因子分析および就職活動におけるストレスと精神的健康に関する分析には,就職活動状況について,「現在,行なっている」もしくは「すでに終了した」と回答した608人を用いた。調査内容は,基本的属性(性別,年齢,学部),就職活動状況,精神的健康(GHQ-12項目短縮版),就職活動におけるストレスについてであった。結果:分析の結果,就職活動経験がある者の方が,経験がない者に比べ,有意に精神的健康状態が悪いことが示された。また,就職活動ストレス尺度について探索的因子分析およびステップワイズ因子分析を行なった結果,最終的に4因子各4項目の計16項目が抽出され,すべての因子において高い信頼性が得られた(α=0.715-0.870)。さらに,希望の企業からの内定がない者は,内定がある者に比べ,就職活動ストレスは高く,精神的健康へ及ぼす影響も強いことが明らかにされた。結論:本研究の結果から,学校現場において大学生の就職活動期の精神的負担の減少や学校生活の質の向上を目指した支援を行なう必要性が示唆された。

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© 2009 日本学校メンタルヘルス学会
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