学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
困難状況の対処様式から見た若手小学校スクールカウンセラーの関係性の多重性と階層性
齋藤 暢一朗福原 俊太郎川西 智也細川 直人
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2009 年 12 巻 1 号 p. 51-58

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抄録

本研究では小学校スクールカウンセラーが実践上感じる困難感とその対処様式から,小学校スクールカウンセラーの課題と可能性について質的方法を用いて検討した。調査の結果,現場に何らかの問題が生じていても,スクールカウンセラーとして期待される役割をスムーズには発揮されない場合があり,様々な関係性の中で実践することの困難状況が浮かび上がった。こうしたスクールカウンセラーが遭遇する多重関係を筆者らは階層的な次元性を想定し,一次関係と二次関係という概念を仮定して検討を行った。その結果,小学校スクールカウンセラーは周囲と非相談的な「一次関係」を基盤として,「二次関係」となる相談関係を周囲と構築することの重要性が示唆された。また,校内外との連携においても「一次関係」の基盤が重要になってくるなど,関係の多重性と階層性が検討され,スクールカウンセラーの実践としての特徴と可能性が考えられた。

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© 2009 日本学校メンタルヘルス学会
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