学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
12 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 北見 由奈, 茂木 俊彦, 森 和代
    原稿種別: 本文
    2009 年 12 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,1)就職活動経験の有無による精神的健康状態の相違を明らかにすることと,2)近年の就職活動状況を考慮した就職活動におけるストレスを測定する尺度を作成し,3)大学生の就職活動におけるストレスが精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることである。方法:調査対象者は,大学3・4年生1295人であった。なお,因子分析および就職活動におけるストレスと精神的健康に関する分析には,就職活動状況について,「現在,行なっている」もしくは「すでに終了した」と回答した608人を用いた。調査内容は,基本的属性(性別,年齢,学部),就職活動状況,精神的健康(GHQ-12項目短縮版),就職活動におけるストレスについてであった。結果:分析の結果,就職活動経験がある者の方が,経験がない者に比べ,有意に精神的健康状態が悪いことが示された。また,就職活動ストレス尺度について探索的因子分析およびステップワイズ因子分析を行なった結果,最終的に4因子各4項目の計16項目が抽出され,すべての因子において高い信頼性が得られた(α=0.715-0.870)。さらに,希望の企業からの内定がない者は,内定がある者に比べ,就職活動ストレスは高く,精神的健康へ及ぼす影響も強いことが明らかにされた。結論:本研究の結果から,学校現場において大学生の就職活動期の精神的負担の減少や学校生活の質の向上を目指した支援を行なう必要性が示唆された。
  • 齋藤 暢一朗, 福原 俊太郎, 川西 智也, 細川 直人
    原稿種別: 本文
    2009 年 12 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究では小学校スクールカウンセラーが実践上感じる困難感とその対処様式から,小学校スクールカウンセラーの課題と可能性について質的方法を用いて検討した。調査の結果,現場に何らかの問題が生じていても,スクールカウンセラーとして期待される役割をスムーズには発揮されない場合があり,様々な関係性の中で実践することの困難状況が浮かび上がった。こうしたスクールカウンセラーが遭遇する多重関係を筆者らは階層的な次元性を想定し,一次関係と二次関係という概念を仮定して検討を行った。その結果,小学校スクールカウンセラーは周囲と非相談的な「一次関係」を基盤として,「二次関係」となる相談関係を周囲と構築することの重要性が示唆された。また,校内外との連携においても「一次関係」の基盤が重要になってくるなど,関係の多重性と階層性が検討され,スクールカウンセラーの実践としての特徴と可能性が考えられた。
  • 藤井 義久
    原稿種別: 本文
    2009 年 12 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー
    4つの下位尺度(友達,親,自分,先生),計20項目から成る「国際版児童生徒用キレやすさ尺度」が開発された。調査対象者は,日本の児童生徒(10歳-15歳)941名と北欧諸国(デンマーク,フィンランド,スウェーデン)の児童生徒(10歳-15歳)897名である。なお,キレやすさ得点は,各因子を構成している項目得点を単純に合算する形で算出した。その結果,キレやすさ得点(全体)の地域差は見られなかったが,日本の児童生徒は北欧諸国の児童生徒に比べて友達に対してよりキレやすいのに対して,北欧諸国の児童生徒は日本の児童生徒に比べて自分自身にキレやすいといったように,キレやすさの方向性に違いの見られることがわかった。さらに,国を超えて一貫して,女子の方が男子よりもキレやすく,しかも,女子においてのみ,第2次性徴の影響により,キレやすさ得点が急上昇する時期(日本:10歳-11歳,北欧諸国:11歳-12歳)の存在することが明らかになった。
  • 益子 洋人
    原稿種別: 本文
    2009 年 12 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,過剰適応傾向を「自分の気持ちを後回しにしてでも,他者から期待された役割や行為に応えようとする傾向」と定義した。本研究の目的は,第一に,一般高校生における過剰適応傾向と抑うつ,強迫,対人恐怖心性,不登校傾向との関連を検討すること,第二に,過剰適応傾向のサブタイプによって,それら4つの精神的健康指標がどのように異なるのかを,探索的に検討することである。420名の高校生に,質問紙調査を行った。相関分析の結果,過剰適応傾向のすべての因子は,抑うつ,強迫,対人恐怖と,有意な正の関連を示した。中でも抑うつと対人恐怖は,比較的強い関連を示しており,強迫は,比較的弱い関連を示していた。他方,不登校傾向は,過剰適応傾向の一部の因子としか有意な正の相関を示さず,関連も弱いものだった。また,過剰適応の5つのサブタイプを独立変数,精神的健康指標を従属変数とする一元配置分散分析の結果,各因子得点が高い過剰適応群は,多数がcut off pointを超えるほどに不健康であり,いくつかの因子得点が高い群がそれに続くが,「自己不全感」が低い群は,過剰適応していない群と同程度にしか不健康ではないことが示された。以上の結果から,一般の高校生における過剰適応傾向は,特に抑うつや対人恐怖につながりやすく,強迫や不登校にはあまりつながらないであろうことや,全般的に過剰適応している群は,精神的健康において,臨床群とほぼ同等の問題を抱えている可能性があること,過剰適応的な行動をとっていても,「自己不全感」が高まっていなければ,比較的健康に過ごせる可能性があることが明らかになった。今後の課題として,過剰適応傾向,特に「自己不全感」を低減させるための具体的な方法を開発することや,過剰適応と特定の不適応との関連を明らかにすることがあげられる。
  • 西村 昭徳, 森 慶輔, 宮下 敏恵
    原稿種別: 本文
    2009 年 12 巻 1 号 p. 77-84
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー
    教師のバーンアウト研究において,バーンアウト尺度における因子構造の不安定さが研究上の問題点として指摘されてきた。すなわち,Maslach Burnout Inventory(MBI)などのバーンアウト尺度で想定されている因子のうち,「情緒的消耗感」因子と「脱人格化」因子についての統計的な識別が曖昧であり,教師におけるバーンアウト概念の整理と合わせて,検討の余地が残されてきた。そこで,本研究では小学校教師における日本語版バーンアウト尺度の因子的妥当性を検討することを目的とした。甲信越地方の公立小学校教師を対象に調査を実施し,540名から有効回答が得られた。バーンアウトの理論的背景及び教師を対象にMBIや日本語版バーンアウト尺度を実施している先行研究を基に,2つの因子構造モデルを想定し,確認的因子分析によるモデル比較を行ったところ,「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の3つの因子で構成される3因子モデルが最も高い適合度を示した。この結果から,小学校教師のバーンアウトは3つの因子で説明することが適切であることが示唆され,今後の研究において,この3側面の時系列的な相互関係に焦点を当てることで,バーンアウトプロセスの解明や段階に応じた適切な介入方法の発見につながる可能性が考えられた。
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