抄録
4つの下位尺度(友達,親,自分,先生),計20項目から成る「国際版児童生徒用キレやすさ尺度」が開発された。調査対象者は,日本の児童生徒(10歳-15歳)941名と北欧諸国(デンマーク,フィンランド,スウェーデン)の児童生徒(10歳-15歳)897名である。なお,キレやすさ得点は,各因子を構成している項目得点を単純に合算する形で算出した。その結果,キレやすさ得点(全体)の地域差は見られなかったが,日本の児童生徒は北欧諸国の児童生徒に比べて友達に対してよりキレやすいのに対して,北欧諸国の児童生徒は日本の児童生徒に比べて自分自身にキレやすいといったように,キレやすさの方向性に違いの見られることがわかった。さらに,国を超えて一貫して,女子の方が男子よりもキレやすく,しかも,女子においてのみ,第2次性徴の影響により,キレやすさ得点が急上昇する時期(日本:10歳-11歳,北欧諸国:11歳-12歳)の存在することが明らかになった。