学校メンタルヘルス
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資料論文
スクールカウンセラーと教員の連携に関する調査研究―連携の現状と課題に対する認識の比較を通して―
土居 正城加藤 哲文
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2012 年 15 巻 2 号 p. 250-259

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抄録

【問題と目的】スクールカウンセラー(以下,SCとする)と教員の連携の重要性が指摘され,両者の連携に関する知見が蓄積されてきている。しかし,それらはSCやSC配置校の教員を対象とした調査等から得られたものであり,現場で実際に連携をコーディネートするSC担当者を対象としたものはみられない。そこで,彼らの連携に対する認識を探ること,SCのそれと比較検討することによって両者の類似点や相違点を明らかにすること,これらの知見に連携促進のための考察を加えることを目的として研究を行った。

【方法】自由記述式質問紙を作成し,SCおよびSC担当者に回答を依頼した。SC 43名,SC担当者67名の計110名から回答が得られた。

【結果】分析の結果,両者の関心はおおむね一致し,それは連携の成否と連携の責任の所在にあることが明らかになった。そして,両者の連携の成否に関する認識には差は認められず,連携を不十分であると認識していること,SCは連携の責任に,SC担当者は連携の成否により関心があることが明らかにされた。また,連携の阻害要因としてSCの勤務時間の不足が挙げられ,連携の責任は双方にあるとする認識が最も強かった。

【考察】これらの結果から,今後の十分な連携の実現のためには,SCの勤務時間を増やすこと,成功例から学ぶこと,互いの専門性の理解を深めること,相互のコミュニケーションを促進することなどの重要性が示唆された。

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© 2012 日本学校メンタルヘルス学会
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