本研究は,とある市で実施された小,中学校の間の連携システムによる学校不適応予防の効果を検討することを目的とした。本システムは,6年間のどこかの学年で年間15日以上欠席した小学6年生の個々の児童について,小学校教師によって記載されたシートと,臨床心理士によって作成されたコンサルテーションコメントを中学校の先生に送るものであった。このシステムは日本の初の試みであり,6つの中学校と18の小学校に導入された。6つの中学校に実態調査を行い,詳細な分析の結果,学校不適応の予防の効果は,多様であることが示唆された。本システムの積極的な活用の重要性と,サポートチームを形成する学校システムの必要性,および,多くの教師が情報を共有する必要性等が論議された。