学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
16 巻 , 1 号
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原著論文[実践研究]
  • 早川 惠子, 小林 正幸
    2013 年 16 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,とある市で実施された小,中学校の間の連携システムによる学校不適応予防の効果を検討することを目的とした。本システムは,6年間のどこかの学年で年間15日以上欠席した小学6年生の個々の児童について,小学校教師によって記載されたシートと,臨床心理士によって作成されたコンサルテーションコメントを中学校の先生に送るものであった。このシステムは日本の初の試みであり,6つの中学校と18の小学校に導入された。6つの中学校に実態調査を行い,詳細な分析の結果,学校不適応の予防の効果は,多様であることが示唆された。本システムの積極的な活用の重要性と,サポートチームを形成する学校システムの必要性,および,多くの教師が情報を共有する必要性等が論議された。

資料論文
  • 玉木 宗久
    2013 年 16 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では,自己決定理論に基づいて,学習に対する複数の動機づけ成分を測定し,自閉症スペクトラム(ASD)児と定型発達児の動機づけスタイルの間に違いがあるかどうかを検討した。

    【方法】最も得意な学習と最も苦手な学習の2つの条件で,ASD群と定型発達群のそれぞれ17名が,内発的調整,同一化的調整,取り入れ的調整,外的調整の4つの成分を含む動機づけ尺度に回答した。

    【結果】得意な学習の条件では,下位尺度のいずれの動機づけ得点においても両群の違いは見られなかった。しかし,苦手な学習の条件では,ASD群の同一化調整の得点が有意に低かった。また,条件にかかわらず,4つの下位尺度から構成される自律性得点は,定型発達群よりもASD群で有意に低いことが示された。

    【考察】これらの結果は,ASD児がより自律性が低い動機づけをもっていること,そして,そのような学習の動機づけスタイルには,同一化的調整,及び,いくつかの動機づけの複合的な成分が影響していることを示唆している。

  • 神谷 真由美, 岡本 祐子, 髙野 恵代
    2013 年 16 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,自己愛的脆弱性により大学生を類型化し,愛着スタイルの特徴を検討することを目的とした。大学生・大学院生を対象に質問紙調査を行い,209名の回答を分析した。自己愛的脆弱性尺度短縮版に関してクラスタ分析を行い,非脆弱群,自己緩和不全群,自己顕示抑制群,脆弱群の4群が抽出された。その後,各群を独立変数,愛着スタイルを従属変数とする一要因分散分析を行った。その結果「安定」は自己緩和不全群,脆弱群が,自己顕示抑制群より有意に高く,非脆弱群は自己緩和不全群より有意に低かった。「アンビバレント」は自己顕示抑制群,脆弱群が,非脆弱群,自己緩和不全群より有意に高かった。「回避」は,自己緩和不全群が他の3群より有意に低かった。非脆弱群は不安定な愛着スタイルを示さず,脆弱群は不安定な愛着スタイルを示したことから,大学生の自己愛的脆弱性の背景には,幼児期の主要な愛着対象との間で形成された不安定な愛着スタイルが反映していることが示された。また自己緩和不全群が安定した愛着スタイルを示したことに対し,自己顕示抑制群は不安定な愛着スタイルを示したことから,大学生の「自己顕示抑制」「自己緩和不全」という特徴が,愛着スタイルの違いを反映していると示唆された。

  • 鈴木 美樹江, 川瀬 正裕
    2013 年 16 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,生徒の学校場面における不適応徴候を察知するための尺度の検討を行った。調査対象者は,A県とB県に在籍している中学生597名,高校生823名の合計1420名(男子692名,女子728名)であった。

    項目分析,探索的因子分析の結果,10項目からなる1因子構造となった。信頼性係数は統計学上の基準を満たしており,妥当性についても検証的因子分析の結果は構成概念妥当性が許容範囲内であり,基準関連妥当性が備わっていることを確認した。また,不適応徴候尺度について教師評定で指名された生徒(指名群)と,それ以外の生徒(統制群)との間に差があるかについて検証した。その結果,教師に指名された指名群の方が,統制群より有意に本尺度の値が高いことが示唆され,本尺度の内容的妥当性についても確認された。

    最後に学校場面における不適応徴候を察知するための尺度作成における課題点と実践場面への活用方法について考察を行った。

ショートレポート
  • 竹谷 怜子, 小野 久江
    2013 年 16 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル フリー

    【問題と目的】教員の生活の質(QOL)の低下が懸念されるが,本邦では国際的な評価尺度を用いた教員のQOL調査は行われていない。そこで,包括的な健康関連QOL尺度であるSF-36における8下位尺度および新規に提唱された3コンポーネント・サマリースコアを用い,教員のQOLを探索的に検討した。

    【方法】教員群(n=82)と,教員群と年齢・性別を無作為にマッチングさせた非教員群(n=82)を対象とし,教員群と非教員群におけるSF-36の8下位尺度得点および3コンポーネント・サマリースコアの比較を行った。また,教員群のSF-36の8下位尺度得点および3コンポーネント・サマリースコアの特徴を検討した。

    【結果】教員群と非教員群において,SF-36の差は見られなかった。教員群のSF-36の8下位尺度得点は,「心の健康」得点(48.1±10.1点)よりも,「日常役割機能(身体)」得点(45.1±11.5点)と「日常役割機能(精神)」得点(45.6±11.2点)が,日本人平均値50点をより下回った。教員群のSF-36の3コンポーネント・サマリースコアは,「身体的側面」得点(50.3±10.6点)と「精神的側面」得点(50.0±9.2点)は日本人平均値を示したが,「役割/社会的側面」得点(41.7±11.6点)は日本人平均値を下回った。

    【考察】教員と非教員でQOLに差がなく,どちらも精神面でのQOLは比較的保たれていたが,役割機能のQOLが低下していた。また,SF-36の3コンポーネント・サマリースコア解析は役割機能のQOL低下をより明確化しており,今後のQOL研究に有用であることが示唆された。

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