2013 年 16 巻 2 号 p. 152-160
【問題と目的】子どものあらゆる問題に対応しなければならない学校現場では,初期対応を含めた子どもや保護者対応の困難さから,支援の行き詰まりを生じさせ,深刻な事態に発展することもある。本研究では,学校現場で起きた支援の行き詰まりに対しスクールカウンセラーが介入した複数事例を報告し,支援の行き詰まりの要因を質的に検討した上で,スクールカウンセラーの役割について論考することを目的とする。
【方法】公立小学校及び中学校,高等学校に通学する児童・生徒,保護者,教師を対象とし,支援の行き詰まりに陥った顕著な事例を複数抽出し,概要を述べた。
【結果】5つの事例を通して,支援の行き詰まりを生じさせたきっかけは,子どもの拒否的・反抗的要因,保護者の消極的・非協力的要因,学校側の要因として示された。また,支援の行き詰まりを脱したきっかけは,問題の顕在化,スクールカウンセラーなどの第三者の介入であった。
【考察】拒否,反抗といった子どもの行動の背後にある心の葛藤を検討できないほどネガティブな感情を高まらせる教師は,支援の行き詰まりのリスクをより高めることを示唆した。そのため,対応の難しい保護者には,チーム支援の観点を持ち,柔軟に対応する必要性について言及した。また,学校組織の疲弊が,支援の行き詰まりを導きやすくさせることを示唆した。さらに,スクールカウンセラーが,支援の行き詰まりを客観的に評価することで,事態を好転させる心の支援のあり方を検討した。