学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
原著論文
スクールカウンセラーと担当教員の考える連携の目的―職種間の差異とその克服のための視点―
土居 正城加藤 哲文
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2014 年 17 巻 1 号 p. 5-17

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抄録

【問題と目的】スクールカウンセラー(以下,SC)と教員の連携の重要性が指摘され,両者の連携に関する知見が蓄積されてきている。しかし,両者の連携の目的に関する研究はほとんど見られない。そこで,その具体的内容を明らかにし,さらにこれに関する職種間の認識における差異を検討すること,これらの知見に連携促進のための考察を加えることを目的に研究を行った。

【方法】全国のSC配置校にSCと教員の連携の目的に関する自由記述式質問紙を郵送し,有効回答の得られたSC142名,SC担当教員158名の合計300名,計533件の記述を分析対象としてKJ法により記述内容のカテゴリー化を行った。また,職種ごとの差異を検討するために,生成されたカテゴリーデータについて統計的分析を行った。

【結果】分析の結果,両者の連携の目的は,子どもを取り巻く環境の向上,問題対応機能の強化,子どものメンタルヘルスの向上であることが明らかになった。そして,SCは子どもを取り巻く環境の向上を,SC担当教員は子どものメンタルヘルスの向上を,相手側の職種より強く求めていた。

【考察】これらの結果から,今後の十分な連携の実現のためには,両者がこの差異を認め,お互いの考え方の違いを理解した上で,相互の立場や考えを尊重することの重要性が示唆された。

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© 2014 日本学校メンタルヘルス学会
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