学校メンタルヘルス
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資料論文
新型コロナウイルス流行下に大学に入学した2020年度入学生の心理的適応に関する縦断的検討
山内 星子杉岡 正典小橋 亮介松本 寿弥織田 万美子鈴木 健一
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2024 年 27 巻 1 号 p. 50-57

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抄録

【問題と目的】新型コロナウイルス感染症流行下である2020年度の大学入学生の心理的適応状態の変遷について,半年毎に3度の追跡調査を行ったデータを用いて検討した。心理的適応には,抑うつ,不安,自尊感情,人生満足度を含めるとともに,スクリーニングの重要項目とされる希死念慮と現実感喪失におけるハイリスク学生の割合の変遷も併せて検討した。

【方法】A大学の2020年度入学生を対象とし,2020年3月末から4月上旬(Time 1),2020年9月下旬(Time 2),2021年4月(Time 3)の3時点で,同一内容の調査を実施した。全ての調査に回答し,かつ,マッチング可能であった351名(回収率16.1%,男性194名,女性163名)を分析対象とした。調査内容は,デモグラフィックデータに加え,抑うつ,不安,自尊感情,人生満足度であった。抑うつ尺度には,心理的状態のリスク評価が可能な2項目が含まれていた。

【結果】分散分析(反復測定)の結果,抑うつ,不安,自尊感情において,測定時期の主効果が有意であり,抑うつ,不安ではTime 1, Time3<Time 2,自尊感情では,Time 1>Time 2, Time 3という結果が示された。ハイリスク学生の割合については,現実感喪失項目でのみ,入学後半年時点でのハイリスク学生の割合が有意に多かった。

【考察】分析の結果から,2020年度入学生の抑うつ,不安は入学から半年後に悪化し,入学一年後には元の水準に戻っていた。一方で,自尊感情では,変動の幅は小さいものの,新型コロナウイルス感染症流行下でやや低下し,その後元の水準まで回復しておらず,ネガティブな指標とポジティブな指標では異なる推移をたどっていることが示された。

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