抄録
医師数抑制は医療費抑制の手段としても位置づけられており、その中で、医療機関の経営が厳しさを増している。この20年の間に大規模病院の医師数は増えたが、中小病院では逆に減少している。また、近年外科手術等が大病院に集中してきたことも相まって、中小病院が淘汰されている。これは在宅医療の基盤の弱体化につながる問題である。医師数に関する政策については、想定する労働負担の適正さ、特に「労働の質」をしっかりと考慮すべきである。同時に、人口などを含めた医療需要の正確な推計を行うなど、注意深く検討していくことが重要である。