学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
総説
ADHDマスキング行動および関連要因の分類
―文献レビューによる概念化の試み―
前田 千晴佐々木 三紗竹田 好香高橋 恵理子桂川 泰典
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2024 年 27 巻 2 号 p. 192-201

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抄録

【問題と目的】注意欠如・多動症(ADHD)者が,周囲に対してADHD特性を隠す行動を取ることが明らかとなっており,このような行動はADHDマスキングと呼ばれている。ADHDマスキングは,ADHD者の適応を促すというプラスの側面と心理的な負担をもたらすというマイナスの側面の両方が示唆されている。しかし,ADHDマスキングの実証研究は数が少なく,マスキング行動の範囲や関連する要因の詳細は明らかとなっていない。本調査では,ADHDマスキング行動,ADHDマスキングの定義,ADHDマスキングの要因,ADHDマスキングがもたらす影響に関する文献レビューを行うことで,ADHDマスキングがADHD者に及ぼす心理的負担とその関連要因を整理し,ADHDマスキングの心理的負担に対する介入の糸口を検討することを目的とする。

【方法】英文,和文の学術論文データベースより,ADHDマスキング行動,ADHDマスキングの定義,ADHDマスキングの要因,ADHDマスキングがもたらす影響に関わる項目を広く抽出し,得られた項目の分類を行った。

【結果】文献検索および関連項目の抽出・分類の結果,【ADHDマスキングの要因】,【ADHDマスキング行動】,【ADHDマスキングが及ぼす影響】の3つの分類が得られた。

【考察】ADHDマスキングに含まれる行動内容や関連する要因等をふまえ,ADHDマスキングとは「社会的環境からの要請(タスク,コミュニケーション等)に対応するため,自己の認知や信念に基づいて行われるADHD特性を補ったり隠したりするための対処や努力」として仮説的に定義された。ADHDマスキングは,ADHDに対する世間の否定的な考えや偏見,社会的な要求や期待が要因となり得るほか,自己に対する否定的な認知や信念が回避や先延ばしといった不適応的なマスキングの実施につながる可能性もあるため,社会へのアプローチと併せて個人の心理・行動的な変数に対しても支援を行う必要があると考えられる。

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