【問題と目的】近年,小中学生における暴力行為やいじめの認知件数について,過去最多を更新する件数が報告されている。しかし,暴力行為やいじめといった学校教育現場における諸課題に対して,破壊的行動症の各症状,内在化問題,および,外在化問題が与える影響については十分に明らかにされていない。本研究の目的は,親評定のオンライン調査を用いて,小中学生の暴力行為やいじめの実態を明らかにし,破壊的行動症状,内在化問題,および,外在化問題との関連を明らかにすることであった。
【方法】小学1年生から中学3年生の児童生徒を持つ親(保護者)1800名に対するオンライン調査のデータを用いた。対象となった親(保護者)の年齢は43.33±6.18歳(男性44.1%,女性55.9%)であり,児童生徒は10.67±2.63歳(男子52.3%,女子47.7%)であった。本研究では,児童生徒の暴力行為の有無,いじめ(加害・被害)経験の有無,破壊的行動症状(不注意症状,多動症状,反抗挑発症状,素行症状),内在化問題,および,外在化問題に関する親評定データを用いた。
【結果】1ヵ月間での暴力行為の発生率は5.72%であった。1ヵ月間でのいじめの発生率は,加害が0.94%であり,被害が3.06%であった。外在化症状との関連を検討した結果,破壊的行動症状との関連を検討した結果,不注意症状は暴力行為といじめ(被害)に影響があり,反抗挑発症状は暴力行為といじめ(加害)に影響があり,素行症状は暴力行為といじめ(加害・被害)に影響があることが示された。次に,内在化問題はいじめの加害と被害の両方に対する影響が示された。一方で,外在化問題は暴力行為といじめの加害に対する影響が示された。
【考察】本研究では,小中学生の暴力行為,いじめの加害,いじめの被害に対して,破壊的行動障害,内在化問題,および,外在化問題が関連することを明らかにした。今後は,本研究の結果を踏まえて,児童生徒の暴力行為やいじめに対する治療や予防の方法についてさらなる検討を重ねる必要がある。