理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP232
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成人中枢神経疾患
半側空間無視に対する錯視を用いた線分二等分試験の試み
*北里 堅二入江 泰子赤星 智美金子 真一中元 愛子築地 喜生
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抄録
【はじめに】なぜ錯視が起こるのかを考える事は、ヒトがどのように視覚情報を知覚・認知しているかを知る上で有用だといわれている。今回我々は、ミューラーリヤー錯視を応用した線分二等分試験を用い半側空間無視(以下USN)を有する脳卒中片麻痺患者の評価を試み、若干の知見を得たので報告する。【対象】対象は脳卒中片麻痺患者26名であり、内訳は男性15名、女性11名、右片麻痺11名、左片麻痺15名、平均年齢70.4歳である。線分抹消試験、線分二等分試験、絵画模写試験のいずれかにでもUSN症状を示した9名(すべて左片麻痺)をUSN(+)群、いずれの試験でも症状を示さなかった17名(左片麻痺6名、右片麻痺11名)をUSN(-)群とした。また、健常人20名(男性9名、女性11名、平均年齢50.8歳)を対照群とした。【方法】20cmの黒い線分の両端に赤い<及び>印をつけた4通りの線分モデルを用い、線分のみのものと合わせて5種類の線分二等分試験を行った。<ははさみ角60度、一辺の長さが5cmで、向きの組み合わせは><、<>、<<、>>である。試験はそれぞれの線分モデルを一つずつ被検者の正面中央に提示し、黒い線分の中央と思うところを鉛筆でマークさせた。線分モデルの提示順はランダムとし、線分の中心とマークとのズレを計測し、各群ごとに平均値を算出した。それぞれの群内での線分モデル間の平均値の差異をウイルコクソン符号付順位和検定で、同一線分モデルにおける各群間の違いをマン・ホイットニ検定を用いて分析した。【結果】線分の中点とのズレの平均は、夫々線分のみ、><、<>、<<、>>の順に、対象群-0.22±0.47、-0.16±0.37、-0.04±0.29、0.97±0.37、-1.19±0.35cm、USN(-)群では-0.07±0.45、0.21±0.82、0.27±0.86、1.58±0.60、-0.90±0.87cm、USN(+)群が3.09±3.18、3.46±2.66、2.29±2.73、4.19±2.47、2.18±2.19cmであった。各群内における線分モデル間の関係では、対照群とUSN(-)群において<<と>>のそれぞれが、他の線分モデルとの組み合わせのすべてに対し有意差(p<1%)が認められたのに対し、USN(+)群では右側の<印の向きが違う組み合わせのすべて(p<1%)及び><と<<間(p<5%)で有意差を認めた。同一線分モデルにおける各群間の関係では、対照群とUSN(-)群間で<<と>>間のみに有意差を認めた(各々p<1%、p<5%)のに対し、対照群とUSN(+)群間ではすべての線分モデルで有意な差異を認めた(<>はp<5%、他p<1%)。USN(-)群と(+)群間においては<>以外のすべての線分モデルで有意差が認められた(p<1%)。【まとめ】錯視を用いた線分二等分試験において、USNを呈する脳卒中片麻痺患者は右側の符号の形態に依存した視覚認知の傾向が認められた。しかしUSN症例の中には左側の符号の影響が明らかに認められる症例も存在した。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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