2025 年 28 巻 1 号 p. 149-153
【問題と目的】子どもの攻撃行動を促進する変数の1つとして,冷淡で非情緒的な気質であるCU特性(Callous-Unemotional Traits)がある。さらに,CU特性が攻撃行動に与える影響を調整する可能性がある変数として親の養育行動がある。しかし,子どもの攻撃行動とCU特性の関係における親の養育行動の調整効果に関する実証的研究は十分に実施されていない。本研究は,子どもの攻撃行動とCU特性の関係に対する親の養育行動の調整効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】本研究は,「子どもと親のメンタルヘルスに関する親評定オンライン調査」のデータを二次利用し,小学1年生から中学3年生の子どもを持つ親1800名を対象にした。親評定による子どもの攻撃行動とCU特性,および,親の肯定的養育行動と否定的養育行動について分析した。
【結果】階層的重回帰分析の結果,CU特性と肯定的養育行動および,CU特性と否定的養育行動の交互作用が有意であり(β = -.12, p < .001: β = .09, p < .001), 養育行動の調整効果が示唆された。単純傾斜分析の結果,肯定的養育行動の高群低群の両方でCU特性から攻撃行動への有意な差が見られた。しかし,その差は肯定的養育行動低群の方が大きかった。否定的養育行動においても高群低群の両方でCU特性から攻撃行動への有意な差が見られ,否定的養育行動では高群の方の差が大きかった。
【考察】本研究の結果,親の肯定的養育行動が高ければ,CU特性が高い場合でも攻撃行動が抑えられる可能性が示された。反対に,親の否定的養育行動が低ければ,CU特性が高い場合でも攻撃行動が抑えられる可能性が示された。今後は,本研究の結果に基づいて,縦断的調査や介入研究を積み重ねる必要がある。