学校メンタルヘルス
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原著論文
青年期の過剰適応が抑うつに及ぼす影響における価値の調整効果
竹田 好香佐々木 三紗前田 千晴高橋 恵理子桂川 泰典
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2025 年 28 巻 1 号 p. 76-85

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抄録

【問題と目的】本研究では,青年期における過剰適応が未来の抑うつに及ぼす影響を調整する要因としてACTにおける価値に着目し,「価値の明確化とコミットメント」と「回避の持続」の調整効果を明らかにすることを目的とした。

【方法】大学生および大学院生を対象に,2時点の短期縦断調査を実施した。過剰適応,価値(「価値の明確化とコミットメント」と「回避の持続」),および抑うつに関する質問紙調査を行った。T1に回答した257名を横断的検討の分析対象とし,T1に回答し,かつT2に回答した163名を縦断的検討の分析対象とした。

【結果】抑うつ得点によりカットオフ以上と未満で群分けし,予備分析として,横断データを用いて階層的重回帰分析と単純傾斜検定を行った結果,抑うつ臨床群において,「回避の持続」が高い場合は,「期待に沿う努力」と「自己不全感」が高いほど抑うつが有意に高く,「自己抑制」が低いほど抑うつが有意に高いことが示された。一方で,抑うつ臨床群において,「回避の持続」が低い場合は,過剰適応のいずれの下位尺度も抑うつへの有意な値は示されなかった。縦断データを用いて階層的重回帰分析を行った結果,臨床群と健常群のいずれにおいても,過剰適応と未来の抑うつの関係における「価値の明確化とコミットメント」と「回避の持続」の調整効果は示されなかった。

【考察】抑うつ臨床群におり,自分の目標や自分にとって大切なことに取り組む行動が不足し,衝動的な行動や回避的な行動,他人や社会からの期待や要求に応えようとする行動が過剰であり,自分らしさや自信を喪失した過剰適応状態にある青年は,抑うつが高くなっている可能性が推察される。したがって,「期待に沿う努力」と「自己不全感」の高い過剰適応状態にある抑うつ臨床群の青年に対して,「回避の持続」を低下させることで,抑うつを低減させられる可能性が示唆された。

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