【問題と目的】中学生期の自己受容において,自己のポジティブな面を受け容れることは,ネガティブな面を受け容れることと同様に重要であり,本研究では,自己のポジティブな側面である強みを受け容れることについて,強み受容に焦点を当てた。ポジティブ心理学における強みの研究に基づきペアやグループでの活動を重視して構成した心理教育プログラムが,中学生の強み受容を促進するかを検証することを目的とした。
【方法】中学生の1~3年生を対象に,クラス単位で介入群と統制群を設定した。介入群に対するプログラムは,1.強みについて学ぶ,2.他者の強みに注目する活動,3.自己の強みに注目する活動,4.強みを活用する活動で構成された,全4回の授業プログラムを実施した。授業は,1週間に2回のペースで行われ,およそ2週間の期間で実施された。統制群に対しては,通常の道徳や特別活動の授業が実施された。強み受容尺度,強み注目尺度,強み活用尺度,および振り返りシートへの回答が求められた。
【結果】時期×群の2要因分散分析の結果,強み受容尺度の「強みの卑下」および強み注目尺度の「自己の強みへの注目」について介入群の得点に有意な改善がみられた。振り返りシートの自己評定や自由記述の内容から自己や他者の強みに気づいたという記述が多かった。
【考察】使用した各尺度の得点の変化および振り返りシートの内容から,他者に卑下することなく,自己の強みに注目できるようになるという心理教育プログラムの効果が確認された。また,授業時間における実践について検証し,本プログラムの有用性が議論された。