学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
資料論文
大学生におけるBig Fiveパーソナリティと心理的ストレス過程との関連
―ストレッサーの相違に着目した検討―
奥田 菜央鈴木 美樹江
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2025 年 28 巻 2 号 p. 232-244

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抄録

【問題と目的】近年,大学生における精神的健康問題への対応が課題となっており,悩みを抱えながらも必要な支援につながれていない学生の存在が指摘されている。大学生の精神的健康問題が深刻化する中,ストレス反応に至る過程の解明と,パーソナリティ傾向に応じた支援が求められている。本研究では,Big Fiveパーソナリティが認知的評価とコーピングを媒介してストレス反応とどのように関連するかを,異なるストレス状況に焦点を当てて検討した。

【方法】大学1‒4年生206名を対象に,TIPI-J, 認知的評価測定尺度(CARS),改訂版ストレス自己評価尺度におけるコーピング尺度,ストレス反応尺度を用いて調査し,構造方程式モデリングにより分析した。

【結果】対人関係ストレス状況では,外向性・神経症傾向はコミットメントと消極的コーピングを介して抑うつを高めていた。一方,協調性・開放性は,コントロール可能性と消極的コーピングを介して抑うつを低減していた。学業ストレス状況では,協調性はコミットメントと積極的コーピングを通じて情緒的混乱を低減し,神経症傾向はコントロール可能性と積極的コーピングを介して情緒的混乱を高めていた。

【考察】本研究は,同一のパーソナリティであってもストレス状況に応じて使用するコーピングの様式が異なる可能性を示し,パーソナリティと状況の相互作用の重要性を示唆した。特に協調性の高い人はコミットメントやコントロール可能性の評価を行なうことで,適応的なコーピングを選択しやすく,いずれの場面でもストレス反応を軽減することに寄与していた。一方,神経症傾向の高い人はストレス状況をコントロールできないと認知的に評価することで,適応的なコーピング選択がされず,ストレス反応につながっていた側面もあった。今後,神経症傾向の高い人には,状況への柔軟な認知的再評価を促すことを視野に入れた心理的支援が必要である可能性がある。

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