抄録
組織内において, 知識を効果的に共有しようとする試みは, 既に実践段階に入っているものの, その成否を決定する条件等については議論が残されたままである. たとえば, ITを用いたナレッジ·データベースがすぐに機能麻痺するのは何故なのか, システムを設計する上で何に注目をおけばよいのかについては, 未だ説得力のある説明はない. 本研究では, シミュレーションを通じて, 知識共有戦略の優位条件を導出し, ナレッジ共有のための基本的な制約条件を考える. 特に具体的な数値条件を導出することで, マネジメントの実現において, 何の知識をいかなる手段で共有すべきかに関する提言を行う.