経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
2002年度春季全国研究発表大会
選択された号の論文の75件中1~50を表示しています
  • ソフトシステムズ方法論からの考察
    石野 泰輝, 木嶋 恭一
    p. 1
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は、伝統的なマネジメント手法であるPDCA (Plan, Do, Check, Act) サイクルより効果的に問題状況変革を支援する手法を経営コンサルティングの領域において提案することである。PDCAサイクルは, 問題状況の定義を所与とするハード思考の手法であるため、問題状況の設定を十分に扱えない。ここで, ソフトシステムズ方法論を踏まえたPMDA (Picture, Model, Debate, Act) サイクルを提案する。このPMDAサイクルは, 問題状況の改善に有効な点で、ナレッジマネジメントの知識変換プロセスに実践的含意を与える。
  • 喜田 昌樹
    p. 2
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    組織的知識構造に関する理論的な研究は認知的組織科学を中心に、ナレッジマネジメント論や組織学習論などにおいても進んでいる。しかし、知識構造を測定するという問題は残されている。本稿では、組織的知識構造を測定し、分析するための枠組みを構築する。その中心となるのが、認知マップと呼ばれる研究方法である。今回の発表では、認知マップの概要、代表的な種類、作業手順などについて説明する。最後に、この分析方法の位置付けについて議論し、組織的知識構造研究における実証研究の方向性を示す。それは、ケース分析と本稿で取り上げた認知マップによる分析を統合して用いることである。 (著者抄録)
  • 犬塚 篤, 中森 義輝
    p. 3
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    組織内において, 知識を効果的に共有しようとする試みは, 既に実践段階に入っているものの, その成否を決定する条件等については議論が残されたままである. たとえば, ITを用いたナレッジ·データベースがすぐに機能麻痺するのは何故なのか, システムを設計する上で何に注目をおけばよいのかについては, 未だ説得力のある説明はない. 本研究では, シミュレーションを通じて, 知識共有戦略の優位条件を導出し, ナレッジ共有のための基本的な制約条件を考える. 特に具体的な数値条件を導出することで, マネジメントの実現において, 何の知識をいかなる手段で共有すべきかに関する提言を行う.
  • 内山 哲治
    p. 4
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    文化遺伝子としてのミームを組織の中でどのようにマネジメントできるかを、ナレッジマネジメントと比較をしながら論じる。その際、インフォーマルネットワークの構造を把握することが、ミームの構造を把握する一つの手段であることも指摘される。
  • 駒井 道昭, 正本 順三
    p. 5
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の発表者の一人である正本は、長らく産業界(旭化成)で研究開発に携わり、特許·発明の業務に携わり、知的財産権は産業の発達の原動力として、非常に重要視されていることを肌身で体験してきた。ここ10数年、アメリカに始まったプロパテント政策が、知的財産権の新しい流れを形成している。本研究はビジネスモデル特許が、重要視されてきた歴史的展開と現状についてふれ、今後のあり方について考察することとする。
  • 横田 明紀, 安田 一彦
    p. 6
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    迅速かつ俊敏な意思決定が求められる企業経営において, ERP導入は多くの企業にとって急務となっている。しかし導入プロジェクトの多くが, その途中で目的を達成することなく頓挫するケースは決して珍しいことではない。ではERP導入において, 何が要因でプロジェクトが成功したり失敗したりするのであろうか。本報告では, ERP導入プロジェクトでの成功要因と失敗要因について考察するとともに, 何をもってプロジェクトの成功あるいは失敗とするのかの判定基準についても検討する。
  • 益満 環, 安田 一彦
    p. 7
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ビジネス·プロセス·エンジニアリング(BPE)を実施するうえで最重要な活動の一つにビジネス·プロセス·モデリング(BPMod)がある。そのBPModを円滑かつ効率的に進めるために使用されるBPModツールが重要な役割を果たす。厳しい経営環境にある企業において業務改革が必須である現在、ビジネス·プロセスを再構築する際に使用されるBPModツールの重要性が益々高まっている。そこで、本研究ではAHPを用いて、これまで使用したBPModツールの中から4つのBPModツールについて評価を行う。
  • 飯島 淳一, 戸田 保一, 小林 隆, 菱山 玲子, Chapagain Nishit
    p. 8
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    俊敏な経営を実現するために, ビジネスをプロセスとして見るという, ビジネスプロセスムーヴメントが注目され, その視点からのモデル化手法として様々なものが提案されている。これらの手法は, そのほとんどが従来の伝統的な情報システム開発方法論を, ビジネスプロセスの分析·設計フェーズへシフトさせることにより, ビジネスプロセス設計から情報システム開発への方法論のシームレスな適用をねらったものである。ここでは, ビジネスとは人間活動システムであるという観点から, 目標概念の重要性に注目し, 与えられたビジネス目標を実現するビジネスプロセスの設計を行うための方法論について述べる。
  • 齋藤 裕, 玉木 欽也
    p. 9
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    協調型演習であるエクストラネットデザインレビュー演習(EDR演習)とそれを支えるEDRシステムの概念·役割を提案し、更にケーススタディを通じてそのシステム構築方法を例示する。本研究でのEDRシステムの概念とは、設計試作業務による仮想試作(デジタルモックアップ)と遠隔デザインレビューを支えるための情報インフラを指す。
  • 田名部 元成, 白井 宏明
    p. 10
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では, 大学や企業におけるビジネスゲーム開発を容易ならしめるための開発ツールについて提案する. ビジネスゲームは体験学習のための有効な手段として, 大学教育や企業教育に取り入れられている. しかしながら従来のビジネスゲームは実装されたモデルが固定であり, 個々の企業の実情に合わせて改造することは困難であったため, 必ずしも企業にとって十分満足できるとは限らなかった. そこでビジネスモデルについては詳しいが, コンピュータプログラミングのスキルは高くないビジネスマンでも, 自社の実情にあったビジネスゲームを構築して, 経営戦略の分析や社員教育に利用できることを目的として, 「ビジネスゲーム開発システム」を開発した. 本システムはWeb技術とビジネスゲーム生成言語により, 普段パソコンやインターネットを利用しているビジネスマンが容易にビジネスゲームを開発できることを目指している. 現在, 企業や大学院教育において試行中であり, 今後一般公開を予定している.
  • 赤尾 嘉治
    p. 11
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ソフト開発における要求定義は開発の初期段階の作業として位置付けされている。しかし、実際には初期段階の工程で定義が終了し、次のステップへ進むことは難しく、一部の要求定義は先送りをしなければならない場合が発生する。また、一度決定した要求内容においても開発の進捗とともに変更を余儀なくさせられるケースもある。今回はこの変更·修正がどのような要因により発生し、変遷していくのか、また、開発工程の進捗と伴に要求の変更が発生する因果関係と決定のファクターについて考察したものである。
  • 高原 康彦, 矢野 吉雄
    p. 12
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    我々のグループでは, 経営情報論の重要な領域である問題解決型情報システム開発を, システム理論, 集合論, 定式化アプローチ, extPrologを用いて行う方法を提唱している. 今まで行ってきた開発方法では, システムモデルとしてトランスデューサ型のオートマトンのみを使っていたが, この方法を色々な問題に適用してきた経験から, 単純なオートマトン表現では問題解決が行えない問題が存在することがわかってきた. そこで, そのような場合に対処するために, 従来の方法を拡張し, トランスデューサ型のオートマトンにpush down stackを付加したものすなわちpush downオートマトン迄を使う場合について報告する.
  • 荒川 一彦
    p. 13
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    電子商取引実証推進協議会(Ecom)では、平成10年以来、「ECサイト事業者のビジネスモデル調査」を実施し、EC事業者の実態と成功モデルの把握に努めてきた。平成13年度は、その対象を、対消費者向け電子商取引(BtoC·EC)から企業間電子商取引(BtoB·EC)にまで拡大した。本報告では、(1)我が国ECの日常化を跡づけるとともに、(2)顧客中心の成功要因·手法を実証的に再検討し、(3)「BtoC·EC」と「オープンBtoB」との類似性/相違の検討、(4)CRM優位な成功ビジネスモデルを、事業者アンケートの結果を中心に調査の一端を紹介することで報告する。1本報告は、所属機関承認の下、個人として行うものである。
  • 加藤 智也, 河合 恵美, 横井 茂樹
    p. 14
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    消費の低迷や消費者嗜好の多様化などにより, 商品開発において消費者の意見を反映させることは、メーカーにとって重要な課題となってきている。しかし、ハガキなどを用いる従来の方法は, 消費者の意見を収集·集約するためにかかる時間やコストを考えると決して有効なものではない。そこで、近年インターネットが急速に普及してきたことにより、メーカーと消費者を容易かつ安価につなぐコミュニケーションツールとして、Webを商品開発に活用することが期待されている。本研究では、メーカーの立場からWebを活用して消費者の意見を取り入れる消費者参加型商品開発について考察する。
  • 根来 龍之, 門脇 俊仁
    p. 15
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、B2Cネットビジネスにおける差別化の要因についての研究である。「リアルビジネスとネットビジネスでは、ビジネス特性及び顧客行動の違いがあり、リアル企業と異なるネット独自の差別化要因が存在している」のかどうかを確認することが本研究の目的である。たとえば、ネットでの購買(利用)プロセスはウェブシステムを介して提供され、それはリアル店舗とは異なる顧客の体験(オンライン体験)を伴うものである。本研究では、顧客がおもに利用しているサイトについて、それを知った理由、利用している理由、スイッチした理由についてアンケート調査を行った。その調査結果から、ネットでの顧客のサイト選択への影響要因を分析する。そして、顧客の選択行動により影響力が高い要因がネットビジネスにおいて影響力がある差別化要因だと考える。この分析の結果、利用している理由としてオンライン体験要因が、スイッチした理由としてネットチェーン要因(ネットの機能を利用したone to oneサービス)が一定の影響力を持つことなどがわかった。また、差別化要因の影響力は、ビジネスの特性によって差があることもわかった。本研究では、ビジネスの特性を、製品·サービスのネット独自性、市場の独占度、市場の競合性などに着目して把握する。たとえば, ネットビジネスに特徴的な要因であるオンライン体験の差別化要因としての影響力は、市場の競合性が高いほど強い。
  • 野島 美保
    p. 16
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ここ数年で消費者向けインターネット販売の市場が拡大したと言われる一方で、期待通りに顧客を集めることができないショップも多い。本研究では、インターネット·ショップの発展を阻害する要因として、消費者の知覚リスクをとりあげる。リスクを削減するためのさまざまなショップの試み(リスク削減制度)が観察されるが、それらを理論的な枠組みで分類した。さらに、日本のネットショップの消費者アンケート調査を行い、消費者属性とリスク削減制度との関係を明らかにした。この結果から、ネットショップの将来像が示唆された。
  • 豊島 雅和
    p. 17
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    テレワーク化の主対象はホワイトカラー職である。しかし「ホワイトカラー」の意味は曖昧である。この課題を解明するため、職務におけるミッションとアクションという情報処理的なモデルを提案する。ホワイトカラーの職務における意味内容を考慮せずに、形式的な行動にのみ注目し、その職務をアクションと、その量に分解する。すると「読み」、「書く」、「話す」、「聞く」、「考える」、の5つのアクションから構成される。そのアクションに対応するホワイトカラーの1980年と1999年の時間分析の比較を試みても、同様な傾向にある。テレワークを中心とするITによって、ホワイトカラーのあるべき姿は何らの影響を受けていない。
  • 沼田 峰紀, 猪原 健弘
    p. 18
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では, 贈与交換と呼ばれる問題状況を扱うRuffleの提案したGift giving model[8]の枠組みに注目し, 拡張モデルの構築と分析をおこなう. Ruffleのモデルは, Psychological gamesの枠組みに基づいており, 意思決定主体に発生する感情が扱われるという点が特徴である. 第一に, receiverの行動を考慮してモデルを構築し, 均衡条件の分析をおこなう. 分析により, giverがギフトを贈るとき, receiverは常にそれを受け取るという結果を得る. 次に, プレイヤーのタイプを導入してモデルを再構築し, 同様の分析をおこなう. そうすると, receiverは贈られたギフトを受け取らない可能性もある, という結果を得る. 第二にreceiverが返礼をするケース, すなわちgiverとreceiverが交代する第2期にまでモデルを拡張し, 分析をおこなう. その際, 交換の「公正さ」を考慮した経済公正関数を導入し, プレイヤーの効用関数に反映させる. その結果, 選択肢のいくつかを省略してゲームを単純にできることが明らかになる. 最後に, 「公正さ」についてさらに考察を進め, 一般公正関数を定式化する. さらにそれをn期まで拡張する場合について考察し, n期gift givingにおけるプレイヤーの一般効用関数の定式化をおこなう.
  • 難波 和明
    p. 19
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    過去、人間の思い込みが原因で発生したと考えられる事故が起こっている。その経過を検討すると、思い込みが強い人は、様々な支援を積極的に受け入れない傾向が強いと思われる。実際にどの様な人が思い込みが強いのかを解明する事は重要であると思われる。本研究では、行動/状態志向性とリスク志向性の2つの行動に影響すると思われる個人差指標を用いて、判断に思い込みが影響する感情ヒューリスティックとLess-is-better効果を実験的に検討した。結果は、行動志向-リスク追求型の人は、思い込みが強く、状態志向の人はリスク追求型、回避型のいずれも思い込みが弱いことを示している。
  • 橋本 孝道, 猪原 健弘
    p. 20
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、感情を伴ったエージェントベースモデルとしての対人関係システムモデルを基本に集団システムモデルを定式化することを目的とする。対人関係システムモデルの枠組みは一般システム理論の他にHeiderのバランス理論やFestingerの認知的不協和の理論に基づいた社会心理学的な相互作用理論を基本とする。さらに対人関係システムモデルを構成する個人主体モデルは環境モデルを有しているものとして定式化される。
  • 小川 勤
    p. 21
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、「情報処理技術者育成の類型化」を行い、その類型の中で、シンガポール·インド·日本等の東南アジア地域の情報処理技術者育成が、経済発展によって、その類型がどのように変化してきたのかを明らかにする。
  • 住田 友文, 嶋崎 真仁, ホー フイ·クーン
    p. 22
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    この研究は、アジア諸国における情報通信インフラがどのように整備されているかを大局的に把握するものである。そのために電話加入率に着目し、国別にその発展の段階を明らかにする。アジア諸国では雁行的に経済発展し、日本を韓国·シンガポールなどのNIES諸国が追い、それをASEAN諸国が追い、更にそれをベトナムなどが追走している。従来の固定電話の普及についても、この雁行的発展に極めて類似の経路を辿りつつある。また近年は、携帯電話の普及もめざましく、先進国では両者の普及率が並ぶ様相を呈している。この2つの現象を併せ勘案すると、途上国における今後の携帯電話の普及はめざましく、社会に大きなインパクトを与えると予見される。
  • 松下 倫子
    p. 23
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ベトナムの情報化は近年急速に進んできてはいるものの、まだ都市部中心であり、全国には行き渡ってはいない。今後の発展のためには、まず、インフラ整備、次いで人材育成のための教員養成、さらにIT産業政策が必要である。
  • 組織学習理論と強化学習理論の融合
    田窪 美葉
    p. 24
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では, 組織学習理論と強化学習理論の融合を図り, チームの環境適応型の知識創造に対してマルチエージェントモデルの導入を提案する. すなわち知識創造の4つのフェーズを, 会議で知識を共有する共同化, データベースに獲得した知識を書き込む表出化, データベースに存在する知識を組み合わせる連結化, そこから知識を取り込む内面化として一連のタスク達成作業を定義する. さらにコンピュータシミュレーションを用いてタスクの種類と組織成果について検討し, 4要因の組み合わせとの関係について考察する.
  • 久野 敬之, 飯島 淳一
    p. 25
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、既存の問題点を改善した新たなナレッジマネジメントシステムを提案することを目的とする。その際、Peer-to-Peer型アーキテクチャを採用する。Peer-to-Peer型システムは、1999年に音楽ファイル交換用アプリケーション「ナプスター(Napster)」が登場以来、注目を集めており、従来のクライアント·サーバ型システムに比べ、ネットワーク負荷や処理能力の分散の面や、人と人との結びつき直接的で強いなどの利点がある。Peer-to-Peer型システムはサーバーの存在の有無によって、ハイブリッド型とピュア型に分類されるが、ナレッジマネジメントシステムの特徴を考えると、サーバーによる知識の管理が求められる。本システムでは、日常業務で生産される書類を情報マイニング技術を用いて管理することで、人が潜在的に持つ知識の分野·方向性をサーバーにより管理するハイブリッド型システムを提案する。
  • 妹尾 大
    p. 26
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、日本の製薬会社(エーザイ株式会社)における事例調査をもとに、部門の知識ビジョンを全社イントラネット上に公開することの効果について検討する。同社では、基本理念の浸透を主たる目的として、「ナレッジマップ構築」の取り組みがなされている。これは、イントラネット上での公開を前提として、部門レベルの知識ビジョンと、さらにその下位の課·室レベルの知識ビジョンを、当事者の話し合いによって作成するものである。このような取り組みの効果についてサーベイデータやインタビューデータの分析を通じて検討することで、(1)部門や下位組織の知識ビジョンは、抽象度の高い基本理念と具体性の高い活動テーマとのギャップを乗り越えるための架け橋となりうるのではないか、(2)知識ビジョン作成過程での話し合いによって、下位組織の対話能力が向上する可能性があるのではないか、(3)知識ビジョンをイントラネット上に公開するだけでは部門間のコラボレーションを促進する効果は薄く、知識ビジョンから部門間の関係性を洞察する第三者が必要なのではないか、という知見を得た。
  • 奥田 一博, 猪原 健弘
    p. 27
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    企業が従業員に対する報酬契約を立案する際, モラル·ハザードを防ぐことが重要となる. そのモラル·ハザードを防ぐ手段の1つと考えられるモニタリングを考慮に入れたエージェンシー·モデルを用いて報酬契約の立案に関する意思決定問題を分析する. 本研究の特徴は, モニタリングを行う者(本研究ではプリンシパル自身)とエージェントの関係等をふまえモニタリングの性質を複数種想定している点である. 分析より, プリンシパルがエージェントを信頼している場合, エージェントのとる努力水準とプリンシパルの効用がより高くなることがわかった。
  • 佐々木 尊人, 猪原 健弘, 中野 文平
    p. 28
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ニューロコンピューティングのモデルにおけるニューロンを重み付き多数決ゲームを用いて表し関係づけるを目的としている。またニューロンを重み付き多数決ゲームで表す事により、ニューロン素子を構成要素とするパーセプトロンを重み付き多数決ゲームの結合により表現し、対応付け、ニューロコンピューティングのモデルを分析する事、そして逆にweighted majority gameを用いた社会システムモデルの分析に応用する事を目指している。
  • 柴 直樹, 寺澤 司
    p. 29
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本論の目的は, 企業の情報開示戦略の効用を検討するための枠組として, 情報のやり取りを含む繰り返しゲームを用いた分析方法を提案することである. まず, ゲーム理論における通常の戦略形ゲームを拡張した, 情報のやり取りを含むゲームを提案する. さらに, 拡張したゲームをベースにした繰り返しゲームを考え, 囚人のジレンマを用いた繰り返しゲームから, 3つの典型的な情報開示戦略を提示し, シミュレーションによりそれらの優位性を検討する. 本論が設定するゲーム的状況のもとでは, 事実に即した情報の開示を行なうことが, 意思決定者の利益につながることが示される.
  • 新谷 公朗, 中島 一, 金田 重郎
    p. 30
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    少子化により保育所では, 定員を満たすために、保育はもとより多様なサービスを保護者に提供し、経営的な差異化を図ろうとする動きが活発化している。幼児の保護者は、比較的若い世代が多く、「デジタルママ」と呼ばれる高い情報リテラシーを持つ者も存在する。従って、情報技術を利用したサービスは、差異化を図る有効な手段の一つであると考えられる。本研究では、GPSで取得した保育所送迎バスの位置情報を自動的に保護者の携帯電話にメールで通知するサービスの開発に取り組んでいる。開発には、大学、企業、保育所が参加し、大阪南部の保育所で、保護者を対象としたサービスを実験的に行った。アンケート結果を含めた実験結果について報告する。
  • 網野 智幸, 川村 洋次, 小方 孝
    p. 31
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは, 物語生成の要素技術と統合技術の両面から研究を続けてきた. その中で「芸能情報システム」は物語の多元的な産出·消費を包含する統合のためのオリジナルな概念である. ここではまず, 物語生成研究の一環としての本研究の位置付けを示した上で, 芸能キャラクターの物語生成試作システム(GNGS)を紹介する. これは民話生成システムを基盤に仮想キャラクターのbiographyとdiscographyを自動生成する. そして, マーケティング領域への示唆や応用可能性について考察する.
  • 石原 亮, 西岡 久充, 宇井 徹雄
    p. 32
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では, 電子メール·携帯メールを用い, 各種データベースに対して単一の入力フォームで情報の入力を可能にするシステムを提案する. このシステムにより, ユーザは普段使い慣れたメール操作のみで情報を入力することができるため, パソコン操作の習熟度の高いユーザから低いユーザにいたるまで手軽に入力できるようになると考えられる. また, 携帯メールを使用することにより, いつでも, どこでも情報を入力することができると考えられる. 本システムの有効性を確認するために, アイデア創出会議を題材とした実験を行い, 参加者のアイデア入力数, 意識, ログデータを調査した.
  • アンケート調査による分析
    松野 成悟, 時永 祥三
    p. 33
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    近年、B2Bの進展とともに企業間における連携協力体制を構築·強化する動きが見られる。しかし、複数企業間での情報の伝達や交換、共有に際しては技術的なトラブルだけでなく、企業機密の保持に関する取り決めなど、多くの課題が存在する。本報告では、今回実施したアンケートをもとに、日本企業におけるB2BおよびEDIの現状などを分析し、解決されるべき課題について検討している。その結果、企業間の連携協力関係が進行しているなかで、情報共有に関する取り決めには課題が存在すること、必ずしもオープン指向にもとづくものではないが多くの企業でEDIの導入·実施が進行しており、バックヤードとの連携やEDIデータの二次利用も評価されていること、Web-EDIを中心としたインターネットEDIの普及が進行する一方で、その拙速な導入·移行による混乱を回避するために従来システムとインターネットEDIが混在あるいは併用されていること、昨今の金融規制緩和を受けてネッティングなど新しい決済手段の導入が進行しているが、同時に金融機関を介した決済システムへの安定性を求めていることなどが明らかにされた。
  • 野田 敏文, 奥田 隆史
    p. 34
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    インターネットの普及に伴い, インターネット上には商取引や情報提供を行なっているWebサイトが数多く存在している. それらのWebサイトにおいて, 顧客を引きつけるためにはサイトのデザインや商品構成などのユーザビリティの向上がある. さらに, 顧客が満足するような応答時間で処理を行なわなければならない. 本研究では, 顧客を複数のカテゴリーに分け, Webシステムの設計方法を検討する.
  • 土井 正
    p. 35
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    インターネットは、伝統的な「Markets and Hierarchies」という2分法の枠組みを超えた新しい「市場」を出現させた。そこでは、売り手と買い手との関係性だけでなく、取引の「場」を提供し、かつさまざまな形で支援する第三者(市場サイド)の介在も目立っている。取引における「仲介」の意味も、これまでの問屋や商社といった概念ではなく、新しい「中間者」としてとらえることが適当であろう。本研究は、市場および情報流通における中間者の存在意義について、まずコストと関係性の観点から考える。次いで、電子市場のあり方を分類論的にとらえるとともに、聞き取り調査に基づくケース·スタディとして実証的に分析する。
  • 古賀 隆幸
    p. 36
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ゼロ金利政策にも関わらず、企業の設備投資需要は弱含みのままである。公定歩合と民間設備投資の時系列特性を観察し、経済産業構造の成長から分岐過程への非線形なシステム変換について、マクロ政策とミクロな経営活動の関連システムを組織サイバネティックスから考察した。経済主義を越えて、長期的に多様で良質な社会システムへ向けた日本の道について肯定的な示唆が得られた。
  • 古書籍商業協同組合の「オルト·エリート」の事例を中心にして
    桃塚 薫
    p. 37
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    社会の中には, 経済的価値観と文化的価値観という相反する価値観がある。この2つの価値観が、組織の中でどのような役割を担っていくのかについて明らかにすることが、本研究の目的である。そこで、上記2つの価値観が同一組織の中に並存する文化産業を取り上げ、文化産業の情報化によって進展する「再正統化」について, 古書籍業の事業協同組合の事例を用いて考察する。
  • 神谷 英礼
    p. 38
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    地域通貨の効果として, (1)利用可能な範囲を設定した地域通貨を導入することにより, 地域内での経済循環を構築する, (2)交換媒体の欠如によって交換が阻害されるという貨幣の不備を補完する, (3)シャドーワーク(今まで通貨で評価, 交換されなかった財·サービス), 非市場経済資源の交換を促す, (4)地域通貨利用者グループによる, コミュニティ, コミュニティ活動の活性化, (5)ボランティア, 介護などの交換を対象とした地域通貨を導入することによって, それらを活性化させる, などが期待されている。ここでは, マルチエージェントシミュレーションを行って, 上の地域通貨の効果のいくつかを分析する。
  • 玉木 欽也, 齋藤 裕
    p. 39
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    主に人間作業を対象とした「作業研究」の教育方法に関して, その中で特に「作業時間の構成、稼働分析」の課題を取り上げて、そのためのシミュレータを援用した実習システムを提案する。その実習システムとは、3次元コンピュータグラフィックシミュレータを用いた「仮想ヒューマンモデル」の動画データを作業観測および分析できるようにした仕組みと, その動的な画像データと連動した「教育ソフトウェアシステム」から構成される。
  • 松島 桂樹, 戒野 敏浩, 小酒井 正和, 伊東 俊彦
    p. 40
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    青山学院大学総合研究所が主宰する大学間共同によるAMLプロジェクトは、サイバー協調型演習というeラーニングのなかの重要なカテゴリーを創造し続けてきた。これらの実績をもとに、今回ビジネスプランニングの教材を開発し実証実験を行なうことによって、経営戦略策定に関する教育において、理論面のみならず経営プロセス実務をも意識した双方向の授業の有効性を検証しようと試みた。本実証実験によって、ビジネスプランニングの教育にあたっては、教員と学生、学生間のチームワークにおける双方向のコミュニケーション支援という協調型演習の基本的意義が、とりわけ試行錯誤と討議という特性をもつこのような授業に好適であることが明らかになった。
  • 梅田 敏文
    p. 41
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    コンピュータ倫理の種々のテーマを関連付けシステマティックに理解する仮説の提示が本稿のテーマである。仮説構築の軸として、不可視性と可視性、プロフェッショナルとユーザーの基準を設定し、プロフェッショナル/不可視性、ユーザー/不可視性、ユーザー/可視性、プロフェッショナル/可視性の4つのカテゴリを識別する。そして、プロフェッショナル倫理、コンピュータ犯罪、プライバシー、知的財産権というコンピュータ倫理の主要テーマを4つのカテゴリと関連付けて考察する。
  • 長坂 悦敬, 古瀬 勝茂, 石井 哲
    p. 42
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    ビジネスで意思決定した内容や試行錯誤の経緯、コストダウンのための改善案などのメモや問いかけに対する答え、会話内容などは自然言語で伝達されることが多い。最近ではそれらが無理なく電子データとして蓄積できる環境が整ってきた。本研究では、文書データを知的資産として有効に活用するために、テキストマイニングと知識マップによって分類·分析する方法を検討した。ここで、知識マップとは複数の専門分野ごとに単語群を配置したもので、そのマップと文書データを重ね合わせ、文書に関連の高い単語をハイライト表示できる機能を備えたものである。これによって文書の分析結果をビジュアル化することが可能である。
  • 松田 卓久, 飯島 淳一
    p. 43
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    テキストマイニング技術は, 文書情報の検索や分類にきわめて有効であることが知られている. テキストマイニング技術の特徴は, 「似た単語は近くに現れる」という共起性と呼ばれる性質を用いていることにある. このような性質を持つと考えられる対象は, 様々なものがある. その一つが, 音楽情報である. 音楽では, 「似た音の並びは近くに現れる」という性質があるものと考えれば, 音を単語に対応づけることにより, テキストマイニング技術を音楽情報の検索や分類に用いることができると予想される. 本研究ではこのような考え方にもとづいて, J-Popの200数十曲を対象として, テキストマイニング技術を用いた分析を行った. 結果として音楽のプロが直感的に抱いている感覚にほぼ沿ったものが得られた.
  • 田名部 元成
    p. 44
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    データマイニングにおける相関ルールの抽出には, アイテム集合の膨大な組合せの中から, 与えられた抽出条件と閾値によってルールを機械的に選択し, それらを可視化する手法が用いられる. 可視化の手法には, 有向グラフ, 行列表示, およびベン図などが用いられる. 本発表では, 可視化に用いられるベン図表現に対する数学的考察を行い, 表現形式に対する幾つかの有用な条件を挙げる. そして, その条件に基づき従来には無い新しい表現手法を提案する. さらに提案する手法を用いた可視化ソフトウエアの実装と具体的な利用について述べ, 最後にその有効性について議論する.
  • 田中 宏明, 宇谷 明秀
    p. 45
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    高度なデータ分析に基づく意思決定の重要性が増しつつある現在, 多量のデータから人間に理解可能なルールや関係性などの知識を抽出する技術であるデータマイニングに注目が集まっている. NNは容易に非線形の写像が表現できることから応用範囲が広く, データマイニングの要素技術としてもその期待は大きい. しかし, ネットワークの構造及び係数決定における種々の試行錯誤が隘路となり, 期待されたほどには活用されていないのが実情である. 本研究ではデータからのルール抽出を目的として, 構造と結合係数を統合学習するNNのモデリング法を提案する. 簡単なルール集合の最適化のみによって, 各々の問題に適合したネットワークが生成できる.
  • そのフレームワークに関する研究
    高田 朝子
    p. 46
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は時間的変化が早く緊急度の高い「渦中」にある組織に焦点をあて事例研究を行った。その結果、従来の危機管理フレームワークに加えて、現場のメンバーが自律的に行動し意思決定する新しいフレームワークの必要性を指摘し具体的に提示した。
  • 小笠原 泰
    p. 47
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    急速な技術進歩によって、IT(情報技術)の効果的活用が企業経営にとって必須なものとなるのと同時に、どの企業も自社固有のIT戦略を明確にする必要に迫られている。企業にとって、ユニークかつ有効なIT戦略を立案する為には、IS(情報システム)ではなくIT(情報技術)機能の企業戦略におけるミッションを明確化する必要がある。そのミッションから、IT(情報技術)関連の鍵となる組織責任·役割を導出し、それを実行する為の組織スキルを明確化する。その組織スキルの自社にとっての重要度と必要組織スキルの獲得·育成·活用·維持を考慮し、自社における必要IT(情報技術)機能の最適組織配置形態を「効果性」·「効率性」の観点から明確化していくのが、有効な戦略的ITマネジメントである。このアプローチを通して、初めて優位性のあるITアウトソーシングと梃子機能としてのIT(情報技術)を織り込んだ上でのコア事業への集中が可能となる。本発表では、実例を加えて、戦略的ITマネジメントのフレームワークとアプローチについて論じる。
  • 製薬業界の事例
    鈴木 広子, 安田 一彦
    p. 48
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    近年、多くの産業が事業基盤を大きく揺るがす変革に見舞われている。変革期にある産業では、いくつもの変化が相互に影響して混沌とした状況にある。ここでは我が国製薬業界を取り上げて、「技術革新」、「社会的変革」、「人為的変革」の3つの視点から当該業界に変革をもたらしている要因を導き、これらの変革要因がもたらす機会と脅威を明らかにすることにより、変革の大局を捉えていく。
  • 浅井 俊克
    p. 49
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    多くの企業が情報システム部門を分離し、システム子会社化してきた。子会社化の本来の目的は、情報化推進におけるコスト意識を育て、競争力のあるIT技術を確立し、自主ビジネスを推進することである。親会社の情報化推進を本業として、これとバランスを取りつつ、自主ビジネスの拡大を図っていくことになる。企業事例の比較を通じて、理想的なシステム子会社像について考察する。
  • 複雑性のマネジメント戦略のために
    野本 千秋
    p. 50
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/09/19
    会議録・要旨集 フリー
    本論は、以下の論点を含む。
    (1)残余多様性の概念についての説明。
    (2)VSMにおける二つのメカニズム—適応およびモニターリング—コントロール—と残余多様性との関連。
    (3)多様性吸収を“係数”化または“度”化することによって、不十分多様性(Insufficient variety)に対する組織反応を、残余多様性のフレームワークによってモデル化する。
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