抄録
本報告は、電子商取引、決済、広告宣伝の3つの分野の特許を対象にして、ビジネス方法特許の競争上の特徴を明らかにすることを目的とする。その際に、ビジネスモデル・産業モデルの理論を参照枠組みとして利用する。この理論における、ビジネスモデルを特許化したものは競争上の差別化、産業モデルを特許化したものは競争上の独占に貢献すると想定される。本研究では、両モデルのどの内容を特許化しているかをチェックするリストを作成し、90の特許の内容を分析した。その分析結果から、ほとんどはオペレーションを特許化したものであり、戦略を特許したものは少ない、また、産業モデルを特許化したものも少ないことが分かった。すなわち、3分野における既存の特許は、差別化への貢献は間接的であり、競争上の独占力はそれほど強くないと思われる。従って、ビジネス方法特許に対する漠然とした期待や不安は、特許の実際の内容と乖離している可能性がある。