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本研究の目的は,集団内で生成される派閥や提携などのアライアンス構造の安定性を測る尺度を提案することである.その基本にランドスケープ理論がある. これは,形成過程をエージェントベース・シミュレーションによって,各エージェントのもつ他者との親密度を考慮しながら記述しようとする.このとき,自分と同じアライアンスに入るエージェントに対する不満は0と仮定している. それに対して本研究では,アライアンスの維持という長期的視点にたち,同じアライアンスに属するエージェントに対する不満を無視できないものと捉え,この不満が全体的に低いほど構造が安定していると考える.この仮定の下で,親密度から不満度という新たな概念を導出し,これからアライアンス構造の安定性を測る尺度を提案する.