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本研究では、仮想的な市場をコンピュータ内に構築し、その中で作成したマルチエージェントの人工市場での振る舞いのメカニズムをシミュレーションによって明らかにし、健全な実践的経営理論を見出すことを試みる。具体的には、意思に基づいた人間の行動が生み出す市場価格の変動について、そのゆらぎの生成要因を数理モデルに基づき解明し、実証科学的見地から有用な金融システムを構築することを目指して検討する。このアプローチとして、コンピュータ内に作り出した仮想的な市場で、その中に進化的手法によって作成したマルチエージェントが相互作用して取引を行った結果、定まる市場価格のゆらぎを検討する。