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工業化社会から知識社会への本格的な転換に呼応して、企業情報システムの役割も大きく変化している。従来は、スキルワーカーの業務効率化の道具であったが、現在では、ナレッジワーカーが新しい価値を創出するための触媒としての働きが求められている。その結果、IT投資の効果は、それを利用する人や業務に大きく依存する。従って、有効なIT投資を実現するためには、経営者、業務部門、情報システム部門三者の共通認識醸成が鍵となる。本発表では、戦略系と実行系の二つのマネジメントサイクル、すなわち、企業全体のIT投資の決定と個別案件の推進の各局面で、関係者の合意形成を促進するための投資評価手法の概要を紹介する。