抄録
本研究は会議の経済学の文脈におけるW. Desseinの権威的意思決定の理論のレビュー研究である。Desseinの議論は,リーダによる決定は多数決による民主的決定と比べて,高速であるだけでなく,しばしば結論の質においても優れているとする点で特徴がある。本研究では,その基礎モデルの位置付けに焦点を当て,コンピュータネットワーク上の討議支援システムへの応用可能性という観点から新たな検討を行う。同基礎モデルが会議の効率や導出案の質の分析研究に貢献するだけでなく,より実践的に討議支援システムのデザインにも成りうるという見解を説明する。