本研究では、次世代電子商取引推進協議会(ECOM)にて構築したEC評価モデルの有効性について、企業に対する郵送調査で得たデータをもとに、定量的に検証した。その結果、以下のことがわかった。第一に、受発注の電子化などEC化の取り組みと、顧客DB構築など直接ECとは関係のない業務改善の取り組みは、ともに業務量削減や在庫削減といった効果に結びついており、それらの相乗効果も出ている。次に、ECの効果のうち、受発注業務量の削減は、調達業務では観察されるが、販売業務では明確ではなかった。ヒアリングなどから、これは受注と発注の違いによることが明らかになった。また、ECの取り組みは、経営陣の期待に影響を受けていることもわかった。これらのことから、実務におけるEC評価モデルの有効性を検証できただけでなく、受発注業務の違いやリーダシップの重要性など、EC推進のために必要な条件も明らかにすることができた。