抄録
安価なブロードバンド環境が普及したことに伴い,企業と一般消費者間の電子商取引(B to C)が活発化している。今日,地方経済の活性化が求められているが,インターネットの地理的不利性を緩和する特徴から,B to Cは地域活性化に有効な側面を持つ。しかしB to Cでは価格競争に巻き込まれやすいなど,地方を厳しい競争環境下にさらすことにもなる。本稿ではいくつかのケーススタディから,B to Cを地方の小規模・零細事業者の活性化に役立てるための2つの知見を示す。ひとつは得意分野に特化した分業体制の導入である。もうひとつは事業者間のコラボレーションである。これらから地方の小規模事業者や公的な機関に対して,地方の活性化のためのECに関する示唆を導くことを試みる。