抄録
無線技術の発達により,RFIDが小売店へ導入され始めている.しかし,現状では,商品の移動から取得した消費者の行動を,店舗のオペレーション改善に活用しているものの,これらのデータの活用方法については十分に明らかにされていない.そこで本研究では,RFIDを用いて従来よりも複雑な消費者の嗜好を捉えることを試み,RFIDの利用用途を増やすことで,RFIDの価値を向上させる事を目的とする.本稿ではまず,消費者の嗜好を捉える試みとして,小売店で取得可能なRFIDによる購買前データと,POSシステムによる購買データの関係性について示す.次に,購買行動ポートフォリオを提案し,購買前データを活用することで,商品企画や接客方法等が改善することを仮説検証によって示した.なお,仮説検証では,実証実験で取得したRFID,及び,POSデータを使用した.