抄録
システムを設計するさい、共時的な設計図に先行して経時的な設計図を作成する必要性があることを述べる。共時的な設計図とは、ある時点における断面図のようにものである。一方、経時的な設計図とは、ある時点からある時点に至るまでの手順を綴った図のようなものである。例えば、前者は建築図面や機械図面である。後者はフローチャートである。両者の設計図の違いは、時間の流れを考えているかどうかということである。共時的な設計図では時間の流れは考慮しない。ある瞬間に共に存在するものを図に示す。われわれがシステムを設計する場合、共時的設計図をいきなり書くことは難しいと思われる。まず、設計しようとしているシステムがどのようなメカニズムで稼働するかを考えることから設計の思考は始まるのではないか。その思考ができたとき、経時的設計図ができる。経時的設計図ができたら、その図をもとに共時的設計図を描くのではないだろうか。