著者らは先に企業、消費者、銀行エージェントを内包し、価格・生産量・投資をエージェントが自己調整する人工経済エージェントベースモデルを構築し、景気循環などの現実の経済挙動と同様の振舞いが再現されることを明らかにした。本研究では上記モデルを産業連関表及びGDPの計算が行えるように改良し、GDP及び景気変動は投資に伴う銀行からの資金借入を伴う市場流通資金量と、消費者の可処分所得による需要量、及びこれら要因の周期的変動によって説明できることを明らかにし、これらの結果から現実経済の景気循環に及ぼす諸要因の影響について考察した。