抄録
企業内の労働者間に生じる競争意識は、チームとしての性質にどのような影響を与えるのであろうか。労働者間での競争意識や相互監視が“ピア・プレッシャー”として作用することで、チームとしての生産性を高める可能性がある一方で、競争意識が高まる事による心理的ストレスが増加することも考えられる。従来、そのような心理的作用を考慮したインセンティブ設計研究では、労働者間での努力量または努力コストの差によって圧力が生じる状況が考慮されてきた。本研究では、労働者間の「成果物」の比較によって“ピア・プレッシャー”が生じる状況を、エージェンシー理論の枠組みで扱い、成果物から生じる心理的圧力を加味したインセンティブシステムの設計を行なう。